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研究室紹介

先端医科学研究所 細胞情報研究部門(先端研細胞情報)では、癌、自己免疫疾患、移植、感染症、神経疾患における免疫学的側面を中心に研究しています。ヒトの病気の細胞分子レベルでの解明により、最終的には、その免疫制御法の開発を目指しています。本研究室では、日本で遅れているtranslational study (基礎研究の成果に基づいた臨床試験施行と、その解析による新しい基礎研究というサイクル的な研究の展開)の実現を目指しています。日本では個々の研究室は大きくはないので、先端研細胞情報では直接患者を診ませんが、慶應義塾大学病院の臨床教室および東京大学医科学研究所などのtranslational studyが可能な臨床施設と共同で臨床試験を行います。

患者さんからいただいた検体を用いる免疫の実験は、遺伝的背景の違い、検体の量など、実験にあたっての制約は大きいですが、ヒトの病気を解明するためには、どうしても避けて通るわけにはいきません。多くの優秀な研究者が、より単純な細胞レベル、transgenic miceやknock out miceなどの実験に向かうのは当然ですが、我々はあえて、患者さんの検体を用いた実験を主体に研究を進めています。歴史的には、一人の患者さんの検体を用いて構築したシステムから、普遍的な重要な発見がなされることがあり、我々も今までに実際に経験してきました。米国では、この分野にも多くのPhDの研究者が活躍しています。もちろん、我々は、必要に応じて様々なモデルマウス、遺伝子改変マウスを用いた動物実験も行っています。

方法論的には、各種リンパ球や抗体を用いた免疫学的なアッセイはもちろんですが、分子レベルでの解析のために、DNAクローニングなどの分子生物学的な方法が中心となります。ヒトゲノム計画、ポストゲノム計画の進行とともに、ヒト遺伝子蛋白質データベースも充実しつつあり、またDNAチップのような解析技術や、レトロウイルスベクターなどの組み換えウイルスを用いた高効率遺伝子導入などの新技術により、ヒトの疾患の分子レベルでの研究も昔に比べるとずいぶんやりやすくなり、我々も新技術を最大限に活用して研究しています。最新の基礎技術の導入においては、各技術の世界的な専門家との共同研究により、効率よく結果がだせるようになりました。

また、診断や治療というような臨床応用に際しては、企業の力が必要になりますので、総合医科学研究センターResearch Parkなどを利用して、企業との積極的な共同研究を進めています。幸い慶應義塾大学には、知的資産センターも充実してきていますので、特許申請も着実に進めています。

以上、先端研細胞情報の研究概要を述べましたが、本ホームページでは具体的な研究内容と研究環境を紹介していますます。

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